あなたは、何を心の軸として生きていますか?
大事な局面に、その人の信念が露呈するもの。
おかしなものを信じていては、幸せになれるはずがありません。
大学時代、甲府に住んでいた私は、年配の方々から、
地元の英雄、名将・武田信玄について、
何かと聞かされたことがありましたが、
その中で忘れられない話の一つを紹介します(^_^)
信玄が、信濃(しなの・長野県)制圧を目指していた頃。
全軍が出陣しようとしていた、まさにその時。
一羽の鳩が飛来し、庭の大樹にとまりました。
それを見た兵士たちは、皆、「わぁー」
と歓声をあげて喜んだのです。
不審に思った信玄は、老臣に尋ねました。
「なぜ、兵士たちが、あんなに喜んでいるのか」
「出陣する際に、この木の上に鳩が来たならば、
大勝利間違いなしと、昔から伝えられております。
大変、縁起のいいことです。
兵も必勝を確信し、沸き立っているのでございます」
老臣もうれしそうに答えました。
しかし、信玄は表情を変えません。
それどころか、、
黙って鉄砲を手に取り、たちまち鳩を撃ち落としてしまったのです。
「殿、何をなされますか。
吉兆が凶兆に変わってしまうではありませんか」
老臣は驚いて詰め寄りました。
「かりに、鳩に吉兆があるとしよう。
では、次の合戦の時に、もし、鳩が飛んでこなかったら、
おまえたちは、どんな心境になるのだ」
「。。。」
老臣は答えられません。
信玄は、出陣する兵士に諭しました。
「鳩が来たら縁起がいいと喜ぶ者は、
鳩が来なかったら、今度の戦いは危ういのでは、
と不安を抱くに違いない。
そうすれば全軍の士気が下がる。
戦わずして、負けたも同然ではないか。
ささいなことを信ずる惑いを解いてやったのだ。
むしろ、普段から戦いに備えて自己を練磨し、
必勝の信念を持つべきである」
鳩がかわいそう、と思いましたが、、
インパクトは絶大ですね(^_^;)
戦国最強の武田軍団は、信玄の、
こうした冷静な判断力で育てられていったと言われます。
「如来の法の中に、吉日良辰を選ぶことなし」(涅槃経)
※吉日良辰(よい日柄ということ、大安吉日と同じ)
ブッダは、日に善し悪しがあるという縁起かつぎは、
一切迷信だ、と説かれました。
善いのも悪いのも、自分の運命のすべては、
自分の行いが生み出したもの。
仏教では、これを「自業自得」と教えます。
世間で、善い運命を得て喜んでいる人に、
それはお前の「自業自得」だよ、と使う人はいませんが、
仏教では、善いのも悪いのも、
私が得る運命のすべては私の業(行い)が生み出したもの、
と説きます。
この「自業自得」の道理を心の軸にして、
共にまっすぐな生き方に心がけてゆきたいと思います。