「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」で知られる平家物語の一節は、高校時代に習った経験のある方も多いと思います。短い文章ですが、なぜかこころに残る魅力がありますね。
日本人の心の拠り所である仏教、「諸行無常」についてお話ししたいと思います。
すべてのものは続かない
「諸行」とはすべてのもの、「無常」とは常がなく続かないことを言います。
「花の色は移りにけりないたずらに 我が身よにふるながめせしまに」(小野小町)
美しさという幸せもまた、時と共に移ろい変わってしまう寂しさを小野小町が歌っていますように、美貌も、健康も、地位、名誉、財産などの安心や満足の花も時と共に移ろい変わっていく、儚いものだと教えられています。
花の命もまた続かない
「散る桜 残る桜も 散る桜」と歌われますように、満開に咲き誇った桜もあっという間に散っていきます。
「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」(親鸞聖人)
4歳でお父さんを、8歳でお母さんと死別された聖人が、「次に死ぬのは俺の番だ、死んだらどうなるのだろうか」と我が身の無常をしらされ、本当の幸せを求めて出家なされる時に歌われたお歌です。
無常を観ずるは菩提心のはじめ
「無常を観ずるは菩提心の一(はじめ)なり」(道元)
世の無常、我が身の無常をみることは、いらずらに暗く沈むのではなく、本当の幸せを求める第一歩です。
まぎれもない自らの本当の姿を聞いて知ることこそ、幸せへの第一歩ですので、ぜひ一度、仏教の話を聞いてください。
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